ナチュラルキス ハートフル
natural kiss heartful


christmas特別番外編



9 パートナーはいずこ?



大学に到着し、三人はそれぞれ麗子にお礼を言って、車から降りた。

周りは、パーティーに参加する人たちでごった返している。随時パーティー会場のほうに移動して行っているようだ。

先生はどこかな? 敦さんや森沢君と一緒にいるはずなんだけど……

「なんか、空気が違うね」

ここまでテンションを上げていた詩織なのに、打って変わって心細そうに口にする。

沙帆子も周囲を見回し確かにと思う。

慣れない世界に身を投じると、なんとも落ち着かないものだよね。

それでも、詩織もいるし、なによりしっかりものの千里がいるんだから不安に思わなくても大丈夫だ。

「ほら、正面玄関に行こう。三人はそこで待ってる筈だから」

広い大学なので、正面玄関までけっこう距離がある。

そちらに向かって歩いていたら、周囲でたむろっていた男性の集団が「あ、君たち」と声を掛けてきた。

無視することもできず、三人して立ち止まった。

「なんですか?」

そう答えた千里の声は少し硬い。

さすがの千里も、緊張してるのかな?

頼りの千里が緊張していると思うと、自分までドキドキしてきてしまう。

詩織も同じみたいで、挙動不審にきょぼきょぼしている。

「君らフリーなんだろ? 俺らのパートナーになってくれないか?」

三人して期待する目で見つめてくる。

「うわっ、三人とも綺麗な子たちだな」

最初に声をかけてきたひとの連れが、驚きを込めて口にし、ずいっと近づいてきた。
さらに、他のところからも男のひとたちが駆け寄ってくる。

なんと沙帆子たちは、男のひとたちに囲まれてしまった。

「俺のパートナーになってくれよ」

「ちょっと待てよ。横から割り込んでくるなよ。俺らが最初に声を掛けたんだぞ」

なんと諍いが始まってしまい、沙帆子は目を白黒させた。

「あの、わたしたちすでにパートナーがいるんです」

勝手に騒いでいる男の人たちに千里は割り込み、はっきりと申し渡した。

「えーっ、そうなのか?」

「はい。では、失礼します」

返事をしつつ、千里は沙帆子と詩織の手を力任せに掴み、彼らを振り切るようにして歩き出す。

だが、進んで行った先で、また別の男のひとたちに声を掛けられてしまう。

そのとき、「千里」と森沢の呼びかけが聞こえた。

声のしたほうに目を向けると、森沢が凄い勢いで駆けつけてきた。

うわーっ、よかった!

三人を囲うようにしていた男の人たちは、森沢がやってくるのを見て、あっさり離れて行った。

沙帆子は胸を撫で下ろした。

けど、できれば先生に駆け付けて欲しかったなぁ。

森沢はひとりだ。
佐原先生と敦さんはどこにいるんだろう?

森沢がやって来た方向に目をやってみても、それらしき姿はない。

「大丈夫か?」

「うん。来てくれて助かったわ」

千里は安堵のこもった声を出す。

「ごめん。三人ともいつもと違うから、すぐに気づけなかった」

森沢はそう言いつつ、千里をほれぼれと見つめる。

沙帆子はなんとなく、詩織と視線を合わせてしまった。

『わたしたち、お邪魔虫だよね』

そんな意味を込めて詩織を見つめて眉をきゅっと上げたら、詩織も同じように眉を上げ返す。
それが可笑しくて、ふたりして噴き出してしまった。

「あんたたち、何を噴き出してるのよ?」

「だって……ご馳走様って感じ?」

詩織がからかうように言ったら、千里は頬を赤らめた。森沢は苦笑している。

それにしても、スーツをびしっと着こなしている森沢は、高校生には見えない。

「森沢君、スーツ似合うね。ねぇ、千里」

詩織はわざとらしく千里に話を振り、千里は赤らんだ顔で詩織を睨む。

その様子を見て、森沢はくすくす笑う。

ふふっ。千里と森沢君、ほんとに御馳走さまって感じだな。

「江藤さん、どうもありがとう。さあ、中に入ろうか。君らはかなり目立ってるぞ。注目を集めてしまってる」

「目立つ? 高校生だって、バレてるってこと?」

千里は慌てた様子で、声を潜めて森沢に問い掛ける。

「そうじゃないよ。綺麗すぎるってこと」

「ほんとに? 、森沢君ありがとう」

褒め言葉に詩織は屈託なくお礼を言う。

「とにかく、行こう。パーティーが始まるまで、スタッフの控室を使わせてもらえることになってる。こっちだよ」

「ねぇ、大樹。あっちゃんと啓ちゃんはどこにいるの?」

「それがわからないんだ」

わ、わからない?

「どういうことなの? あのふたり、どこで何をやってるわけ?」

「僕にもわからない。僕は敦さんから、君らを出迎えろと指示されて、正面玄関のところで待っていただけなんだ」

森沢の答えに、沙帆子は落ち着かずに周りをキョロキョロ見回してしまう。

大学に到着したら、佐原先生とすぐに合流できると思ってたのに……

先生は、どこで何をしているんだろう?





つづく




プチあとがき

ついにパーティー会場へとやって参りました。

が、しかし、啓史がいない?

さて、彼はどこにいるのでしょうか?

……って、予想つきますよね。笑

次でラストの予定。

お楽しみに(*^。^*)♪

fuu(2016/12/28)
   
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