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春になったにゃ…
ずいぶん長いこと、放置してくれたもんにゃ
この仕返しは、も〜ちのろんろん させてもらうのにゃ
第11話なのにゃ
なんか、暖かい日和なのに…寒気が…
ええっとですね。
皆様、覚えておいででしょうか?
たぶん、覚えていらっしゃらないと思いますが。
前前回 fuuと貴弘…以前、脱げない生半着ぐるみハムスターになった、そのまま。
どうしてるんでしょうねぇ??
毒鍋は、聡の勇敢な手によって、無事消滅しました。
城の方では、お后葉奈が、なんとかかんとか奮闘の末、ハナ雪姫を狩人の手に委ね、城から追い出してほっとしたところであります。
第11話 『危ない狩人』
「ハナ、もうここらへんでいいだろ?後は一人で行けよ」
少しでも早く、葉奈のいる城に戻りたい翔、森の小道に入ったばかりだというのに、後ろにみえる城壁を気にしながら、そっけなく言う。
「翔、自分の役柄忘れちゃだめにゃ。森の中で、ハナ雪姫を殺すって、あんたは悪いお后に命じられてるのにゃ」
「ほぉ」
翔、嬉しげに頷き、腰に抱えていた猟銃を手に持ち、おもむろにハナに向けた。
「にゃ、にゃにするにゃ!!」
「いや、お后様の命令を遂行しようと思っているだけだが」
「翔、銃を降ろすにゃ。冗談でもそんにゃ真似するもんにゃないにゃおぅ」
自分の鼻先にまっすぐ向けている銃口を、大狼狽して見つめながら、ハナが言った。
ろれつもまわっていない。
「ふーん。それで、これから俺様に何をしろって?」
「翔、言っとくけど、その銃は本物なのにゃ。おもちゃじゃないのにゃ」
翔の目がきらりと光った。いいことを教えてもらった。
「なあ、ハナ、俺はもう、城に戻っていいんじゃないかと思うんだが?」
引き金に指をかけたまま、翔は銃の先をハナの顔面に向けて、ゆらゆらと不安定に揺らした。
「と、とにかくにゃ、じ、銃を降ろして欲しいにゃ」
「ああ。それで?」
「あんたにゃんか、もうどこでも好きなところに行けばいいにゃ」
翔は、胸のうちでにやりと笑い、すっと銃を降ろした。
「それじゃ、みんなによろしくな」
翔はすでにきびすを返し、城に向かって行きながら、背後のハナに片手を振った。
「翔のやつ、最悪にゃ」
「あのぉ」
「なんにゃ!」
翔にしてやられて、カッカとしていたハナ、fuuに呼びかけられて鋭い目で振り返った。
半着ぐるみ状態を、いまだ強いられているfuu、ハナの睨みにぐっと耐えた。
「元に戻して欲しいんですけど…」
そこまで言ったfuu、翔がいた間なら、あの銃でハナを脅しついでに、この着ぐるみ状態から元に戻してもらえたのだと気づいて、後悔に浸った。
「よく似合ってるのにゃ。いつもより、あんた、1千倍くらいかわいいにゃよ」
「かわいくなくていいんです。元に戻してくれないと、こ、後悔するんだから」
ネコ相手に、声が上ずる自分が情けない。
「なんにゃ?」
「カメラマンがいなくなるってことです」
貴弘はいまだに放心状態で使い物にならない。
そのため、カメラマンはfuuの役目になっていた。
「どいつもこいつも、我が侭なのにゃ」
ハナは憤ったようにいいつつも、その数秒後、fuuは元の姿に戻っていた。
fuuは、飛び上がって喜んだ。涙が出そうなほど嬉しい。
「あ、あの。貴弘さんも、これで戻ったんですよね」
「戻ったにゃ。ほら、さっさと小人のとこに行くにゃ」
fuuはほっとしてハナの後に続いて歩き出した。
すきあらぱ逃げ出そう。
fuuは固く決意した。
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