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はじまり はじまり にゃ
第1話 『はじまり はじまり』
「昔々あるところに、ハナ雪姫という、とっても う…うるわしい(と自分では思っているらしい)お姫様がおりました」
<fuu、余計なコメントいれないにゃ!>
(す、…すみま…へん )ブーたれたfuu
台本を持ち、ナレーションの部分を棒読みしていたfuu、心に許せない文章に、ついつい余計な一言を加えずにいられない。
<まったく、fuuは…。ブツブツ…。ところで、あそこにいるあいつは誰なのにゃ?>
fuuは、ハナの指し示す方向に視線を転じた。
そこには葉奈の兄、貴弘が翔と話しながら、キョロキョロと辺りを見回している。
(逢ってるはずだけど…)
<誰かと聞いてるのにゃ?>
どうやらハナの記憶に貴弘は残っていなかったらしい。
それを認めるのが嫌なのだろう、ハナ、大袈裟な仕草でプリプリしている。
(葉奈の兄の貴弘さんですよぉ)
<そいつがにゃんでここにいるのにゃ?>
(カメラマンを…)
ハナが眉間を寄せた。
<それはfuuに命じたはずにゃ>
そうなのだが…
(カメラを回しながらでは、色々と手が足りなくなるし…助手をと思って…)
ハナさらに怪訝そうに顔をしかめた。
<それじゃ、あいつを助手にすればよかったにゃ>
唇を尖らせたfuu、拗ねた目を、ハナと背後にいる貴弘に向けた。
(それが…拒否されちゃって…。下働きなんかぜったいやらないって)
<ああそういうことにゃ。まあいいにゃ。考えてみれば、あんたにカメラ任せるより、あいつの方が良さそうだにゃ。じゃ、あんたはいまから下働きにゃ>
(し、下働き… あうっ …泣)
しかして…fuuは、小間使いにまで落ちたのだった… fu・fu・fu 悲哀
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