恋 空色

いよ様より

始めから世界は私だけだった

そんな時 あなたと出会い恋に落ちて
私は運命だと思っていた

でも それは違うのかな?

誰かに問いかける 返事はないけど
答えを見つけ出すために 何回も叫び続ける

笑っている未来を見るために
笑顔のままでいて そう そのまま
泣いている顔も私に見せて
一緒に泣きたい そう 思うから

あなたが隣に来ると どうしても弱くなってしまう
いつも強くなければ いけないのにと

空を見ると無限大に広がっている
どこかにあなたの姿はあるのかな?

求めている あなたの存在
私だけじゃなくあなたも そう感じてくれていたら 心の中で私は叫ぶ

隣にあなたの姿がある
それがとても心地良いんだ

                                        by いよ








『恋 空色』



名前も 顔も 声も知らない

そんな貴方に惹かれていく

この気持ち 止められない…



春前なのにぽかぽかした天気が続く日。
木匠桜(キショウ サクラ)はいつものように学校の屋上で日向ぼっこをしていた。

「ふわぁ… 暖かい…」

目をウトウトさせながら呟いた。

屋上の入口の上にある、あの狭いスペースが彼女の特等席だ。
午後の授業は眠くてやる気が出ないため、サボる時はいつもここだった。

桜はゴロっと横になって寝っ転がり、左右を行ったり来たりしながら同じ風景を繰り返し眺めていた。

ガチャッ…

そんな時、微かに扉を開ける音がした。
しかし、桜は眠気には勝てなかったのか全く気にも留めず大きな口を開けて欠伸をしていた。
すると突然、横から声が聞こえた。

「あ。先客かよ…」
「!?」

桜はビックリして飛び起き、声のする方を向いた。
その声の主は上にあがるための梯子のある場所から顔だけをひょこっと覗かせていた。
―――桜と同じクラスの萩野蓮(ハギノ レン)だ。

どうやら彼もサクラと同じように授業をサボるつもりだったらしい。
そしてその場所に選んだのがこの屋上の屋上だった。

「蓮!・・くん」
「よ、桜か。俺も一緒にいいか?」
「う…うんっ」

桜は頬を紅く染めながら頷いた。
さっきの欠伸、彼に見られなかっただろうか… と少し心配になった。

蓮は上にあがると桜のすぐ隣にどかっと座り、彼女もまたちょんと正しく座り直した。
そして彼に自分の顔が真っ赤なのがバレないようにと俯き、ちらっと横目で彼の顔を見つめた。

蓮は腕を後ろの方にして地面に付き、その腕で体を支えながら空を見ていた。
足も片方だけ伸ばし、もう片方は膝を立てて…

桜は蓮のこの姿をぽーっと見惚れていた。
私は彼のこの姿に…

「桜もこの場所が好きなのか?」

突然、彼が振り向いて話しかけてきた。

「えっあっ。 …うん。」

ビックリして声が裏返ってしまった。
桜は恥ずかしさのあまり、それがばれないように言葉を続けた。

「蓮くんもこの場所好きなの?」
「ああ。俺、入学式の日に面倒くさくって式に出なかったんだ。その時にこの場所見つけて式が終わるまでずっとここで空を見ていた。この場所の空ってどの場所よりも一段と綺麗なんだよな。不思議と…」

蓮は空を見上げながら話した。
心地よい風が吹き、雲はゆっくりと空を流れている。

その姿を見つめながら話を聞いていた桜はぼそりと「…知っている。」と呟いた。

「ん? 何か言ったか??」
「ううん。なんでもない。」

桜は彼にニコッと微笑み同じように空を見上げた。


あの日―――
入学式の日、桜も面倒くさくてサボろうと式を抜けだしていた。
どこへ行こうか校舎を彷徨っていたところ、屋上に人影を見つけた。
誰だろう… と、その姿をずっと見つめていると、どうやら男の子らしかった。

屋上の屋上へ上り、そこへ腰を下ろすと腕を後ろにして地面に付き、その腕で体を支えるようにして座り、足も片方だけ伸ばし、もう片方は膝を立て…
そうして空を見上げていた。

桜はその姿がとても奇麗に見えた。
ただ普通に座って空を見上げているだけなのに…
どこかで物音がしても振り向かずに、ずっと、彼の姿に見入っていた。
そして胸がどんどん高鳴り、遠くから見つめているだけで、どこの誰なのか知らない人に恋をしていく自分がいた。

その後になって分かった事は、桜と同じように入学式をサボり、屋上にいた彼は桜と同じクラスだったことだ。
そして――― その彼が蓮だった。


あの日以来、彼女は毎日ここへ来てあの時の蓮と同じように空を見上げていた。
この場所が好きなのもそれが理由だ。

こうしていると、クラスにいる時とは違う親近感が湧いてくるのだ。
桜はこの場所に来ることで彼に近づけたような気がしていた。

そんな彼が今、桜の隣であの時と同じように座って、あの時と同じように空を見上げている。
彼女はそのことが信じられなかった。

ずっとこのままでいられたらいいのに…

そんな事を想いながら彼女は空から連に視線を変え、そしてまた、空を見上げた。

私の恋は… 空色。




End


                                          by いよ

頂き記念日 2008/8/3

あとがき

ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
このお話は、学生時代に屋上に憧れて作ろうと思った作品でした。
07年の秋頃から書き始めて、やっと完成したのが現在です。
ストーリー構成が思い浮かばず、結構悩みながら書きあげたので変なところはあると思いますが、それでも楽しんでいただけたら光栄です。

会話も全然していない2人ですが、これからどうなっていくのか楽しみですね。

いよ

2008年7月11日






fuuからのお礼♪

いよさん、素敵なポエムと素敵なお話。
どうもありがとうございました!!
いよさんの作品を、やさしい風に掲載できて嬉しいです♪

500万ヒット記念のお祝いとしていただき、
やさしい風にまたひとつ宝物が増えましたo(*^▽^*)o♪
ありがとう!!

これからも、楽しみながらお話を書き続けていってくださいね。


fuu
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