kuruizakiに、ふぁんたじーだ
  
  恋に狂い咲き パラレルストーリー
  300万・400万ヒット記念企画 特別編
  (登場人物、狂い咲きのメンバー)



第一話 無謀な王子



「カズマ様、どこに行っておられたのですか?」

帰ったばかりのところを、咎める口調で出迎えられて、カズマはむっとしてクニムラを無視した。

「カ、カズマ様、その額はいったい?」

額?

彼は唇を突き出し、額に触れた。

少し疼くと思ったら、傷を負っていたらしい。

赤く染まった手のひらをクニムラの目に晒さないように、カズマは握り締めた。

「騒ぐな、クニムラ、たいした傷じゃない。ちょっと竜退治をしてきただけだ」

カズマは、破れたマントを脱ぎ捨て、そのまま床に落とした。

これはもう使い物にならないだろう。

「り、竜退治…ま、まさか、お1人でゆかれたのではないでしょうね?」

心配に顔をゆがめているクニムラに、カズマはため息をつきそうになった。

まったく過保護というか…

クニムラは、すでに成人の儀を終えているカズマを、いまだに一人歩きさせられないひよっ子とでも思っているらしい。

「一人に決まってるさ。連れなど連れて行ったら、助けになるどころか、俺がそいつを助けるハメになる」

「どうしてそんな危ない真似をなさるのです。クニムラは、呆れてものが言えませぬ」

「なら、言わなきゃいい。もういいだろ。身体が汚れてるんだ。風呂に入ってくる」

そう言ったカズマは、自分の袖に鼻をくっつけて匂い嗅いだ。

うおっ!

なんとも、竜の体液ってやつは…

カズマはまだ何か言ってこようとするクニムラに構わず、さっさと風呂場に向かった。

「カズマ様、今日、タクミ様がおいでになりましたよ」

カズマは歩を止め、上半身を捻って後ろに振り返った。

「タクミ?何しに?」

「何か相談事がおありだとか」

相談事?

「ふーん」

会えば諍いばかりしているタクミが、カズマに相談事?

なんだろうか?

ひどく気になったが、すでに夜中だ。
いますぐには会いにゆけない。

「明日にでも出向いてみよう」

カズマはそういい、今度は邪魔されること無く風呂場に向かった。




  
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